スペースラボとは 

インターネットが急速に発達した現在、ネットワークというとコンピュータや携帯電話・電線や電波が想像されますが、スペースラボでは素粒子レベルから環境・宇宙にいたるまでの広い視野で、相互作用する〈系〉をネットワークと捉え、その〈しくみ〉をシステムと考えて、［ネットワークシステム］を位置付けています。素粒子・分子・細胞・生物・機械・人間・都市・田園・環境・天体・宇宙等相互の、そしてそれらの複合まで含めた、私たちが知りうるこの世界で起こるあらゆる事象を対象にしようと思います。

近代になって社会が複雑になり、専門化・特化による分業が進んだため、専門分野で多くのことがわかってきた一方で、より多くの〈わからない〉ことがあることもわかってきました。また専門分野が加速度的に専門化して、他分野からは〈わからない〉情報ばかりが発せられるようになってしまいました。現代に生きる私たちは、これら〈わからない〉に起因する、漠然とした不安感の中で暮らしています。さらに、国・村・家族・個人といった主体の喪失が、不安感に拍車をかけています。

専門分野から発せられる情報は、多くの場合その専門分野での正確さのために、専門用語や数式の鎧を着てあらわれ、他分野の人たちに、分かろうとする気さえなくさせます。このような状況の中で、ネットワーク（相互作用する系）というとらえ方は、〈わからない〉を直感的に〈見える〉ようにする可能性を持った方法だと考えています。
たとえば人と人のネットワークとは、コミュニケーションのことであり、このシステムは、握手・お辞儀や名刺の交換といったルールでスタートし、物や情報を交換しながら進んでいきます。この時、手や名刺はインターフェースであり、握り合う行為や交換する順番はプロトコルに当たります。同様に天体相互も、重力というインターフェースを通して、その働き方というプロトコルにしたがって動きを決めていると考えるわけです。